特集 緑内障診療―グレーゾーンを越えて
Ⅱ.治療編
3.開放隅角緑内障
b.手術
これだけは見落とせない線維柱帯切除術の術後管理とその対策
稲谷 大
1
1熊本大学大学院医学薬学研究部視機能病態学
pp.310-314
発行日 2009年10月30日
Published Date 2009/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102981
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レーザー切糸術のタイミングと順番
マイトマイシンC併用線維柱帯切除術の術後眼圧管理にレーザー切糸術を行うのが一般的となり,レーザー切糸術によって術後眼圧を段階的に下げることが可能となったため,術翌日の眼圧が少し高めの値(10mmHg以上)になるように強膜弁を縫合する。筆者は術中に強膜弁を縫合したとき,前房穿刺部位から灌流液を注入して,少し眼圧が高くなり強膜弁から房水がしみ出るのを確認する。もし,しみ出る量が多く,眼球を直接触ってみて柔らかくなっていたら,1分間ほどそのまま様子をみて,前房が浅くならないかを確認し,浅くなる場合は,術直後の眼圧値が低くなってしまうので再度縫合し直すようにしている。
翌日診察して,眼圧が高く濾過胞が膨らんでいない場合,眼球マッサージを行う(図1)。まず,切開創から房水が漏れるのを見逃さないように,フルオレセイン紙で眼表面をよく染色し,青色光で診察しながら行う。患者に下方視をしてもらい細隙灯顕微鏡で見ながら,親指で上眼瞼を持ち上げて,濾過胞から離れた領域を眼瞼の上からその親指でゆっくりと押してみる。濾過胞が膨らむにつれて,結膜切開創から房水が漏れたら,眼球マッサージをすぐに中止し,その日の診察はそこまでで終了し翌日診察する。
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