特集 緑内障診療ガイド—今日の戦略
Ⅱ.治療の実際
3.手術治療の実際
線維柱帯切除術慎重派の立場から
松村 美代
1
1関西医科大学眼科学教室
pp.180-182
発行日 2002年9月10日
Published Date 2002/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410907903
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マイトマイシンC (MMC)併用トラベクレクトミー(以下,線維柱帯切除術)は現在われわれの持っている術式のなかで最も低い眼圧が得られる術式である。緑内障進行の原因が眼圧以外にもあるとしても,それを修飾する方法をわれわれは持たず,一方で正常眼圧緑内障であっても眼圧下降は進行を遅らせるのに有用であるというエビデンスはある1)。
視野障害の進行した開放隅角緑内障では目標眼圧を14mmHg以下,正常眼圧緑内障では12mmHg以下にすべきであると考えられており2),線維柱帯切除術の適応症例は他の術式よりはるかに多い。つい最近まで緑内障手術の評価は,眼圧下降にのみ注目して行われてきた。特に線維柱帯切除術は,成功の鍵である濾過胞の生存のための工夫に苦心が払われ,それさえ得られれば手術合併症が多少多くてもあまり問題にされなかった時代が続いた。しかし,現在のMMC併用線維柱帯切除術では,眼圧の面で手術結果はほぼ安定したものとなり,ようやくここ数年,眼圧下降効果以外の因子すなわち手術合併症に目を向け,それが術式の評価に入ってきたといえる。
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