特集 緑内障診療ガイド—今日の戦略
Ⅰ.診断・治療の指針—私はこうしている
1.診断の指針
乳頭先天異常
吉富 健志
1
1和歌山県立医科大学眼科学教室
pp.50-51
発行日 2002年9月10日
Published Date 2002/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410907862
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大切な視神経乳頭の観察
緑内障診療において視神経乳頭の観察は極めて重要である。眼圧測定のみでは進行度の評価はおろか,診断すらできないのが現状であるし,いわんや視野測定は自覚的検査であり,信頼性に乏しい患者の存在や,中間透光体の混濁の影響などの問題点がある。そこで視神経乳頭所見は緑内障,とりわけ正常眼圧緑内障の診断にとって欠くことのできない検査であり,非常に重要なものとなる。ところで,緑内障性視神経陥凹を診断するにあたり,非定型的な乳頭所見は鑑別上問題となる。そのなかで最も頻度の高いものは近視性の変化を伴った視神経における緑内障診断と思われるが,乳頭先天異常も欠かせない問題である。
乳頭先天異常でも明らかな視神経低形成や朝顔症候群などは緑内障との鑑別上の問題は少ない。問題となるのはむしろ軽症の乳頭形成不全であり,このような症例にはしばしば無自覚の視野異常を伴う。緑内障性視神経異常の鑑別が困難な乳頭所見に,さらに視野異常も合併しているために鑑別が困難になるのである。
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