連載 他科との連携
眼の外から眼を見る目
吉田 正樹
1
1東京慈恵会医科大学眼科学教室
pp.1537-1538
発行日 2001年8月15日
Published Date 2001/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410907464
- 有料閲覧
- 文献概要
眼科の分野で,最も一般的かつ歴史のある他科との連携は,糖尿病,循環器疾患,腎疾患などの眼底所見を窓口とした内科との連携であろう。近年では未熟児網膜症の有無に関し,小児科から依頼されることも一般的になってきた。眼底は眼科医にのみ立ち入ることのできる聖域といっても過言ではない。他科の疾患に起因する眼底病変が惹起され,視機能に影響を及ぼす可能性が出てきた場合,われわれ眼科が眼底病変の評価,治療に参加するのはごく自然な流れである。大学附属病院や大規模な総合病院であれば,眼底病変に関連した他科との連携は必須と思われる。
しかし,他科から連携を依頼されるのは眼底疾患を通じてばかりではない。まぶたが腫れた,下がった,眼が赤い,眼脂が多い,涙が出るなどの一般的な眼科症状に他科が偶然にも遭遇した場合,当然眼科に協力を求めてくる。この場合は,われわれ眼科は一般外来と同様に対処すればよい。一方,他科から,見づらい,2つに見えるなどの視機能に関連する主訴を持っ患者を紹介され,原疾患との関連を尋ねられたとき,戸惑うことが少なくないのではなかろうか。他科の眼科的主訴のとらえかたは,眼科とまさに視点が違うことも多い。依頼票を読んだだけでは理解できないこともある。外来の忙しさで,こちらも眼科的な見解を報告し,結局すれちがいになってしまう。貴重な症例が経験できないまま終わることもあるであろう。そうしたことをなくするには,他科と直接話ができる環境が理想的である。
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.