Ⅲ臨牀講義
血液循環から見た眼と全身との關係
宇山 安夫
1
1阪大
pp.215-218
発行日 1948年10月20日
Published Date 1948/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200280
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眼が全身の他の臓器と密接な關係を持つて居つて,腦内臓などの疾病の早期發見に有力な手掛りを提共することは,既に諸君の知らるゝ如くである。それと申すのも,全身の諸器官の病變が,直接眼に傅播Per continuitatemしてそこに同じ病變を作ることも勿論稀ではないが多くの場合は,全身の諸臓器の病變が,眼に遠くから且つ早期に反映するからで,共反映した眼の病變を捕捉することによつて,他臓器に於ける病變の母地と,共性質を早く發見することが出來るからである。
それには眼と全身との連鎖が極めて親密であることが,主な原因をなしてゐるのであるが,一方又全身に起る病變の影響を受け入れる側にある眼の感受性が,高度に發達して居つて,僅かな病變の影響をもよく之に反應して,眼に一定の變化を表はし,且つ其反應は極めて微々たる程度のものであつても,既に自覺的に,視力色神光神などの機能的變化として或は,他覺的に種々な精密な光學器械に因つて,直接眼を以て詳しく顴察し得るといふことが,一層兩者の關係を親密化して居ると謂へやう。
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