特集 眼科基本診療Update—私はこうしている
救急処置の実際
眼球打撲時の検査
河野 眞一郎
1
1帝京大学医学部眼科学教室
pp.361-363
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410907112
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はじめに
眼球打撲は眼球および眼球周囲のあらゆる組織にさまざまな損傷をもたらす。治療の必要のない結膜下出血のような軽微なものから,緊急に観血的治療を要する眼球破裂のような重篤なものまで,その損傷は実に多彩である。臨床における最終的な目標は,いうまでもなく最善の治療を行うことにあるが,それは正しい診断という基礎の上に成り立つ。眼球打撲では治療方針の決定は急がれることが多い。過不足のない迅速な検査を行って病態を正しく把握すること,それが的確な治療を行うためには不可欠の条件である。
眼球打撲時に限らず,検査というものは系統的に進めるのが合理的かつ効果的である。また,重大なものから順に否定していくのが筋道である。そのための前提として,眼球打撲によってどの部位にどのような損傷が起こり得るか,どのような所見を呈するかを知っておくことが必要である。そこでまず,多種多様の障害を部位別に整理しておくことにする(表1)。
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