やさしい目で きびしい目で・8
『若い時には1冊でよいから本を隅からすみまで読もう』
湯沢 美都子
1
1駿河台日本大学病院眼科
pp.1477
発行日 2000年8月15日
Published Date 2000/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410906963
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私が黄斑疾患を学びたいと思ったのは,20歳代後半に1冊の本を隅からすみまで読んで,面白いと感じたからである。本の名前は『Stereoscopic Atlas of the Macular Diseases』,Gass JDMによって書かれた,世界の名著である。当時私はオランダのナイメーヘン大学のドイトマン教授の所へ行くことが決まっていて,そこで黄斑疾患について学ぶことになっていたが,黄斑ジストロフィ以外の黄斑疾患について何も知らなかった。これでは恥をかくと思い,しぶしぶ2か月かけてその本を隅からすみまで読んだ。読み終わると,多彩に見える黄斑疾患の類似点と相違点が漠然とではあるが理解でき,フルオレセイン蛍光造影の読みと当時の黄斑疾患の治療方針の法則が,しっかり頭にこびりついていた。
一般の眼科医としての知識は,朝倉書店から出ていた三島済一先生と植村恭夫先生が編集された『最新眼科学』を読んだ。これは隅からすみまでというわけにはいかなかったが,名著であり,私の一般眼科の基礎知識はこの本から得られたと思っている。
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