Personal View
照一隅
松浦 哲也
1
Tetsuya MATSUURA
1
1徳島大学,脊椎関節機能再建外科学
pp.1461-1461
発行日 2020年10月1日
Published Date 2020/10/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000001482
- 有料閲覧
- 文献概要
昨年12月4日に,ペシャワール会現地代表で医師の中村 哲さんが銃弾に倒れた。現地の悲しみは深く各地で追悼集会が開かれ,追悼式ではアフガニスタン大統領が自ら棺を担いだ。小生は中村さんのことをよく知らなかったが,生前の取材映像から流れる飄々とした中にも鋭い眼光に惹きつけられた。報道などによればパキスタンで医療活動を始め,その後,アフガニスタンに移ったそうである。アフガニスタンでも医療活動を行っていたが,“薬よりも必要なのは十分な食料と清潔な水だ” と訴え,井戸を掘り農業用水路と取水堰を建設し,砂漠の緑化を成功させた。食料と水が重要と思っても「医者のする仕事ではない」などと考えるものである。中村さんにはこの種の言い訳がなかったのであろう。その背景として中村さんが生前好んで使われた “照一隅” という考え方があると想像する。
Copyright © 2020, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.