今月の表紙
OCTで追った特発性黄斑円孔の形成過程と手術による回復
三宅 養三
1
1名古屋大学眼科
pp.1320
発行日 2000年7月15日
Published Date 2000/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410906934
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症例は右眼の特発性黄斑円孔のため来院し右眼の手術を受けた患者の左眼の10か月の経過をOCTで追った所見である。来院時には左眼の視力は1.2であり,OCTは一見,正常な黄斑部の形態を示していた(最上段)。その後,中心窩を挟むヒゲ状の硝子体膜の牽引が始まったが(上から2段目),まだ自覚症状はない。牽引がさらに強くなり,自覚症状が現れ,裂隙を生じ(中央),硝子体膜はoperculumを伴って網膜表面から分離しようとしている(下から2段目)。視力は0.2に低下した。この時点で手術がなされ,術後に,黄斑部の形態は正常に戻った。特発性黄斑円孔の形成に硝子体—黄斑牽引症候群でみられるような前後方向の牽引が重要な役割をしていることを示す例である。このヒゲ状の牽引所見は黄斑円孔に発展する危険因子である。
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