日眼百年史こぼれ話・7
全身麻酔か無麻酔か—コカイン以前
三島 濟一
pp.1446
発行日 1999年7月15日
Published Date 1999/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410906470
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Jacques Davielによる白内障摘出術(1745)で近代眼科手術が始まり,19世紀半ばにvon Graefeらにより眼科手術が大きく進歩した,というのが共通の理解になっている。では,今日の常識「麻酔と消毒」はどうか,をみると非常におもしろいことがわかる。
白内障摘出術が,伝来の鍼による墜下法に取って代わるのに約100年を要したのは,上述の2点が原因だった。エーテル,クロロホルムによる全身麻酔の発明は1840年代後半で,消毒の概念は細菌学が発展する1860年以後のことである。したがって,それ以前の眼科手術は常に「痛み」と「感染の危険」と隣り合わせであったのである。
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