Japanese
English
研究と報告
コカイン依存の1例
A Case of Cocaine Dependence
斎藤 惇
1
,
永野 潔
1
,
奥平 健一
1
,
黒滝 淳一
1
,
吉田 芳子
2
Atsushi Saito
1
,
Kiyoshi Nagano
1
,
Kenichi Okudaira
1
,
Junichi Kurotaki
1
,
Yoshida Yoshiko
2
1神奈川県立せりがや園
2北里大学医学部公衆衛生学教室
1Kanagawa Prefectural Hospital Serigaya-en
2Department of Hygiene and Public Health, Kitasato University School of Medicine
キーワード:
Cocaine
,
Dependence
,
Acute psychosis
Keyword:
Cocaine
,
Dependence
,
Acute psychosis
pp.1263-1267
発行日 1986年11月15日
Published Date 1986/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204244
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抄録 コカイン依存の1例を報告した。28歳の女性。24歳の時コカインとは知らず経口的に摂取し,その2カ月後コカインと知って初めて経鼻的に吸引した。コカイン摂取の際,多幸感,意欲や性欲の昂進などが起こった。幻視があったが,恐怖感はなかった。初めてコカインを使用して約4年目に,比較的大量のコカインを手に入れた。このコカインを連日吸引するようになり,最後には,約4日間強迫的連続摂取状態となってしまった。この間に,強い恐怖感を伴う幻視を体験し,興奮状態となって入院した。入院後,過眠期,過食期,躁うつ期を経て安定し退院した。
コカインの薬理作用は,各種中枢神経刺激剤と同様であり,本例の示した症状も,覚せい剤依存の患者が示す臨床症状に類似していた。又,コカインの乱用が世界的に増加していることから,本邦においてもコカインの乱用が拡がる危険があることを指摘した。
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