Japanese
English
連載 眼の組織・病理アトラス・152
水晶体と類皮嚢胞
Lens and dermoid cyst
猪俣 孟
1
,
吉富 文昭
1
Hajime Inomata
1
,
Famiaki Yoshitomi
1
1九州大学医学部眼科学教室
pp.1102-1103
発行日 1999年6月15日
Published Date 1999/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410906401
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水晶体と類皮嚢胞demloid cystは発生学的に似たような組織環境にある(図1,2)。それゆえに,水晶体起因性眼内炎lens-induced endophthalmitisの炎症形態と類皮嚢胞の炎症形態は非常によく類似している。
水晶体は表層外胚葉surface ectodermの一部が水晶体胞lens vesicleを形成して眼杯の前面に嵌入したものである。したがって,水晶体は水晶体細胞の基底膜である水晶体嚢に囲まれて,眼内の間質結合組織である硝子体の前面で,しかもこれも眼内の問質結合組織液である房水中に存在している。水晶体質が水晶体嚢に囲まれて存在している限り,生体は水晶体質に対して異物としての炎症反応を起こさない。しかし,穿孔性眼外傷や内眼手術で水晶体嚢が破嚢するか,もしくは過熟白内障になって水晶体質が間質結合組織である嚢外に流出すると,生体は房水中もしくは硝子体中に出た水晶体質を異物と認識して,眼内に炎症反応を生じる。
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