Japanese
English
臨床経験
特異な形態を呈した腰仙部類皮嚢胞の1例
A Case of Dermoid Cyst
井上 恵介
1
,
岩崎 洋明
1
,
三井 宜夫
1
,
浅野 正文
1
,
五島 淳
1
,
増原 建二
1
Keisuke Inoue
1
1奈良県立医科大学整形外科学教室
1Department of Orthopedic Surgery, Nara Medical University
キーワード:
類皮嚢胞
,
dermoid cyst
,
皮膚洞
,
dermal sinus
,
脊髄終糸緊張症
,
tight filum terminalis
Keyword:
類皮嚢胞
,
dermoid cyst
,
皮膚洞
,
dermal sinus
,
脊髄終糸緊張症
,
tight filum terminalis
pp.772-776
発行日 1985年6月25日
Published Date 1985/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408907217
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抄録:脊椎管内に発生する類皮嚢胞は,比較的稀なものとされているが,我々はその中でも稀な先天性皮膚洞を伴い,脊髄円錐から終糸にかけて発生し,特異な形態を呈した類皮嚢胞の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告した.症例は8歳男子,主訴は腰痛および両下肢痛で,腰椎前屈制限と歩容異常に気付いていた.仙骨部正中に皮膚陥凹がみられるが排液はなかった.著明な腰椎前屈制限と項部硬直があり,神経学的にはLaségue徴候左右共50°陽性.単純X線上,仙骨部の2分脊椎とL2からL5の椎体後縁に前方凸の弧状変形があった.脊髄造影ではL5下縁で完全ブロックを呈した.手術所見では,腫瘍は終糸の存在部位と一致しており,脊髄円錐から仙骨部皮膚洞まで存在していた.病理学的に類皮嚢胞と診断された.術後には脊髄終糸緊張の症状は消失した事から,本症例は,類皮嚢胞,皮膚洞,二分脊椎,脊髄終糸緊張症を合併した珍しい症例と思われた.
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