特集 高齢患者の眼科手術
高齢患者の眼科手術
6 結膜・角膜・強膜疾患
結膜腫瘍の診断と治療法
切通 彰
1
Akira Kiritoshi
1
1大阪大学医学部眼科学教室
pp.160-162
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410904067
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
●結膜腫瘍は発見が容易であり,一般的には悪性度の低いものが多い。
●結膜腫瘍の診断にimpression cytology (パパニコロー染色)も使用可能で侵襲の少ない生検方法ではあるが,病理所見にまさるものではない。
●高齢者の場合は治療的腫瘍切除であっても必ず病理所見を検討し,悪性所見が認められれば,迅速に対応すべきである。
●輪部腫瘍ではボーエン病などの上皮内癌や扁平上皮癌などの悪性腫瘍に注意すべきである。
●腫瘍切除は点眼麻酔,あるいは結膜下注射で行えるため侵襲は少なく,結膜あるいは輪部の再建も比較的容易であり,開眼手術ではないため,高齢者でもほとんどの症例で手術は可能である。
●初回手術後で病理所見が悪性であっても,一般に遠隔転移は少ない。しかし,腫瘍の種類や臨床所見より全身検索を行う必要もある。次に年齢や全身状態を考えて,拡大腫瘍摘出術,薬物療法,放射線治療,眼球摘出術などを選択する。
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.