Japanese
English
連載 眼の組織・病理アトラス・94
内因性眼カンジダ症
Endogenous ocular candidiasis
猪俣 孟
1
,
吉富 文昭
1
Hajime Inomata
1
,
Fumiaki Yoshitomi
1
1九州大学医学部眼科学教室
pp.1442-1443
発行日 1994年8月15日
Published Date 1994/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410903951
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真菌性眼内炎mycotic endophthalmitisには,外傷などを契機として起こる外因性のものと,全身の真菌感染に際して真菌が血行性に眼球に到達して起こる内因性のものがある。最近,長期の抗生物質や副腎皮質ステロイド薬使用,経中心静脈高カロリー輸液での静脈内留置カテーテルの使用,悪性腫瘍,エイズなどで内因性真菌性眼内炎endogeneous mycotic endophthalmitisが高頻度に発生している。眼内炎を起こす真菌には,カンジダ属とくにCandida albicans,アスペルギルスAspergillus fumigatus,クリプトコッカスCryptococcus neoformans,フサリウム属Fusa—riumなどがある。真菌性眼内炎のほとんどは眼カンジダ症ocular candidiasisで,カンジダ血症candidemiaを伴っている。また,死後剖検によって,眼カンジダ症が発見されることもまれではない。
眼カンジダ症の初期には自覚症状がないことが多い。眼底に比較的境界鮮明な黄白色の滲出病変が網膜または脈絡膜に認められる(図1)。病変が進行すると,雪玉状,羽毛状,真珠の首飾り状の硝子体混濁が出現し,飛蚊症や視力低下を自覚するようになる。網膜血管の閉塞によって網膜出血やロート斑Roth's spotがみられることもある。確定診断には,血液や尿の培養で,あるいはカテーテルの先端からカンジダを検出する。前房水から検出された例もある。
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