特集 眼科治療薬マニュアル—私の処方箋
疾患別薬剤投与プロトコール
網膜色素変性症
塩野 貴
1
1東北大医学部眼科学教室
pp.179-181
発行日 1992年10月30日
Published Date 1992/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410901380
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現状では
原発性網膜色素変性症は遺伝形式により常染色体優性,常染色体劣性,性染色体劣性,孤発例と分類されていたもののその原因は不明であった。しかし近年の分子生物学の進歩により常染色体優性遺伝を示す患者(日本人患者を含めて)の中にロドプシン1,2)やrds遺伝子3)の異常が明らかにされ,また性染色体劣性網膜色素変性症の遺伝子異常4)も解明されつつある。将来は遺伝的原因がすべて明らかとなり根本的に遺伝子療法が行われるであろう。しかし残念ながら,現在のところ,遺伝的原因が明らかになったのは少数例のみであり,原因別に対応した根本的な治療法はまだない。従って経験に基づいた多種多様な薬物が用いられている。このなかで炭酸脱水酵素阻害剤であるアセタゾラミド(ダイアモックス®:5-acetamide-1,3,4-thiadiazole-2-sulfonamide)5)が最近注目を浴びており,我々も良い結果を得ているのでまず紹介し,続いてよく使用されている他の薬剤について述べる。
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