連載 眼の組織・病理アトラス・59
虹彩欠損と隅角形成不全
猪俣 孟
1
1九州大学
pp.1548-1549
発行日 1991年9月15日
Published Date 1991/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410900817
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虹彩欠損coloboma of irisは,あたかも虹彩の一部が切り取られたようにみえるので,その名がある(図1)。ギリシャ語でkolobomaとは切断して取り去った部分という意味である。
虹彩欠損は,単独で,または他の先天異常に伴ってみられる眼球の先天異常である。眼杯裂(胎生裂)の閉鎖不全によるもので,虹彩の下方やや鼻側よりに生じる。眼杯裂閉鎖不全の程度に応じて,多少とも毛様体欠損,脈絡膜欠損,視神経欠損を伴っている。眼杯の下鼻側にできた虹彩欠損を定型的,その他の部位の虹彩欠損を非定型的という。非定型的な虹彩欠損は眼杯の胎生裂閉鎖不全とは関係がなく,脈絡膜欠損や視神経欠損を伴わない。無虹彩,リーガー異常などの虹彩異常に伴ってみられる。
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