連載 眼の組織・病理アトラス・58
悪性リンパ腫
大西 克尚
1
,
猪俣 孟
1
1九州大学
pp.1318-1319
発行日 1991年8月15日
Published Date 1991/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410900768
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悪性リンパ腫は眼瞼,結膜,眼球内や眼窩に発生し,頻度は高くないが,鑑別診断として常に念頭におかなければならない疾患である。眼科領域ではボジキン病は少なく,非ホジキンリンパ腫が多い。症状は腫瘍の形成部位によりことなり,網脈絡膜へ腫瘍細胞が浸潤すれば,白斑として観察される(図1)。結膜や眼窩に発生すれば,サーモンピンク調の特徴的な腫瘍が観察される(図2)。腫瘍が眼球を圧迫すれば網脈絡膜に皺襞形成をきたすことがある。
診断には眼窩に発生した場合はCTやMRI検査が,腫瘍の広がりが分かり有用で,網脈絡膜のリンパ腫の場合は螢光眼底撮影検査も参考になるが,いずれの場合でも確定診断には生検による病理組織学的検査が必要である。ぶどう膜炎による硝子体混濁が強く,硝子体切除術を行い,その切除標本を顕微鏡で観察して,初めて悪性リンパ腫と診断されることもある。
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