増刊号 6年前の常識は現在の非常識!—AI時代へ向かう今日の眼科医へ
Ⅷ.網膜
糖尿病網膜症
大内 亜由美
1
,
中尾 新太郎
1
1順天堂大学大学院医学研究科眼科学
pp.227-231
発行日 2024年10月30日
Published Date 2024/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410215358
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
ここが変わった!
以前の常識
・糖尿病網膜症は,Early Treatment Diabetic Retinopathy Study(ETDRS)に基づく7方向の眼底写真,および蛍光眼底造影検査で認める細小血管の異常所見により病期分類されてきた.
・蛍光眼底造影検査による細小血管異常や虚血の描出では,層別の解析はできず定性的であった.
・糖尿病黄斑浮腫に対する薬物治療はステロイドを中心としたものであった.
・増殖糖尿病網膜症に対する硝子体手術は難易度,侵襲が高く,術後合併症が問題であった.
現在の常識
・糖尿病網膜症の病態において,神経血管グリアユニットの障害が重要であることが明らかとなった.
・血管病変に加えて,神経病変に伴う視機能も複合的に評価可能な,新たな糖尿病網膜症の分類が求められている.
・OCT,OCTA,超広角走査型レーザー検眼鏡などの眼底イメージングの発展により,定量的診断技術,治療効果の評価や予後予測の精度が向上してきている.
・糖尿病網膜症に対するAI診断および予後予測の精度が向上しており,実臨床への応用が期待されている.
・予防および早期介入の重視,内科および眼科薬物療法の進歩,レーザー治療や硝子体手術の低侵襲化などから,糖尿病網膜症による視覚障害者は減少傾向である.
・糖尿病黄斑浮腫治療に用いるVEGF阻害薬は選択肢が広がり,個別化治療の考えが進んできている.
・一方で,VEGF阻害薬抵抗性の糖尿病黄斑浮腫,糖尿病黄斑虚血,糖尿病神経障害の治療は現在の代表的なアンメッドニーズである.
Copyright © 2024, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.