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連載 眼科図譜
無症候性前頭洞炎から上眼瞼にPott's puffy tumorを形成した1例
A case of Pott's puffy tumor located at upper eyelid resulting from occult frontal sinusitis
高橋 京一
1
Kyoichi Takahashi
1
1たかはし眼科クリニック
1Takahashi Eye Clinic
pp.307-310
発行日 2022年3月15日
Published Date 2022/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410214320
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緒言
上眼瞼に腫脹,腫瘤をきたす疾患は多岐にわたる。代表的疾患は霰粒腫や麦粒腫であるが,その他にも涙腺炎,粉瘤,石灰化上皮腫,血管性浮腫,IgG4関連疾患,膠原病,外傷,耳鼻咽喉科疾患,悪性腫瘍などを鑑別していく必要がある。
なかでも,副鼻腔炎が原発で顔面に腫脹,腫瘤をきたす病態をPott's puffy tumor(PPT)と呼ぶ。Percival Pottが1768年に外傷に起因した前額部骨膜下膿瘍として初めて報告し,その後は主に前頭洞炎に起因した前額部腫瘤の症例が報告されている。現在では前頭洞炎が原因で前頭洞前壁の骨に炎症が波及し前頭洞骨髄炎が生じ,それに伴い前額部骨膜下に膿瘍が形成され,前額部に腫瘍状の突出をきたす病態がPPTと考えられている1)。
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