増刊号 すべて見せます! 患者説明・同意書マニュアル—[特別Web付録]説明書・同意書の実例99点
11 緑内障
トラベクレクトミー
瀧原 祐史
1
1熊本大学大学院生命科学研究部眼科学講座
pp.204-205
発行日 2020年10月30日
Published Date 2020/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410213789
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手術・治療の概要
緑内障の病態は十分解明されたとはいえないが,眼圧による視神経乳頭での網膜神経節細胞の軸索絞扼により,その細胞死と視野障害が生じると考えられている。トラベクレクトミーを検討するタイミングとして,可能な限り薬物治療を強化しても,視野障害が進行している,あるいは明らかな高眼圧が継続している場合などが考えられる。現在の視野障害と進行のペース,年齢,眼圧,視力1),患者の自覚症状と理解,社会的要素などを総合的に捉え,適応を慎重に検討する必要がある。視野障害進行に対しては,今一度,網膜,視神経乳頭より後方の病変など,緑内障以外の疾患が発生している可能性を除外し,緑内障の進行をみていることを確かめる。眼圧上昇に対しては,薬物治療のアドヒアランスに変化がないかも確認する。
トラベクレクトミーでは,眼内から眼外の濾過胞への房水のバイパスをつくる(図1)ことにより,眼圧下降効果が期待される。長期の眼圧下降効果を目指して,マイトマイシンCを併用する。術前評価として,強膜弁と濾過胞をどこに作成するのかを考えながら,白内障手術,硝子体手術創の有無,結膜の可動性が良好な部位を確認する2)。
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