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あとがき
井上 幸次
pp.972
発行日 2019年7月15日
Published Date 2019/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410213216
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本号の「今月の話題」に掲載されている「未熟児網膜症診療のbig change」を興味深く読ませていただいた。正直言って,私のような前眼部の専門家には,未熟児網膜症は自分にはとてもできない遠い遠い話(in a galaxy far, far away)であったが,今回のbig changeは,それがさらに遠のくのではなく,少し近くなった(太陽系ぐらい)ように思われる喜ばしいchangeである。この変化はOCTや広角眼底カメラ,抗VEGF薬によって起こった網膜診療でのbig changeを受けて,さらに手持ち眼底カメラやスマホの応用なども加わって,広がってきたようであるが,特別な人にしかできなかった未熟児網膜症診療の敷居が下がるのは非常に歓迎すべきことである。その反面,低出生体重児の増加に伴ってケアの必要な患児は増えていくと思われ,しかも常によい結果を求められるようになるので,決して楽になったといえる状態ではなく,むしろより厳しくなったと言えるかもしれない。
考えてみれば最近の医療の進歩はすべてそうで,やりやすくなっている反面,やることは多くなり,結果を求められる。抗VEGF薬硝子体注射をしているドクターは多かれ少なかれ,こんなに忙しいのに,眼内炎でも起こそうものならたちまち非難されるのは理不尽だと思っておられるのではないだろうか。そうは言っても,やはりbig changeにはcatch upしていかなければならない。そのためにも,しっかりと「臨床眼科」を読んで勉強したいものである。
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