Book Review
こんなときオスラー—『平静の心』を求めて
鍋島 茂樹
1,2
1福岡大
2福岡大病院総合診療部
pp.719
発行日 2019年6月15日
Published Date 2019/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410213164
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ウィリアム・オスラーは1849年に英国領カナダに生まれ,米国に活躍の舞台を移し,1919年に英国で没した医学界の巨人である。青年時代より病理学,生理学,内科学の分野で活躍し,血小板の機能,マラリアの病型分類,オスラー結節やオスラー病をはじめとする膨大な数の業績を残している。もう一つの彼の偉大な業績は,現代に通じる医学教育の基礎を作ったことである。彼は,講義棟から学生を連れ出し,実臨床の場で「生身の患者」を通じて学生を教え続けた。
オスラーは研究にひたすら没頭する冷徹な学者ではなく,多くの英雄が持つ徳性を豊かに持っていた。すなわち,快活さ・実行力・ユーモア・リーダーシップ・溢れる愛情といった徳である。当時も,そして現在においてもその人格は多くの人を魅了してやまず,今もって全世界に「オスラリアン」と呼ばれる信奉者を生み出し続けている。
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