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特集 黄斑円孔の最新レビュー
黄斑円孔の病態,分類および疫学
Macular holes:pathophysiology, classification and epidemiology
上村 昭典
1
Akinori Uemura
1
1鹿児島市立病院眼科
pp.14-23
発行日 2018年1月15日
Published Date 2018/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410212553
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はじめに
黄斑円孔は主に中高年の女性に発生し,中心視力低下をきたす疾患である。その最初の臨床的記載は1870年頃で,主に外傷による黄斑円孔症例の報告であった。当初,変性による中心窩組織の欠失と考えられていた本症は,その後の詳細な臨床的観察や自然経過観察例の積み重ねにより,その発生に硝子体牽引が関与することがわかってきた。黄斑円孔の病態の理解を急速に早めたのが,1988年に発表されたGassら1,2)による黄斑円孔の病態と進展に関する記載である。間もなくして,1991年にKellyとWendell3)が黄斑円孔の手術方法を発表し,黄斑円孔は治療可能な疾患となった。さらに光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)の応用は今まで細隙灯顕微鏡で観察が困難であった微細な硝子体皮質ラインや網膜内囊胞を描出できるようになり,黄斑円孔の病態の解明に大きく貢献した4)。近年のスペクトラルドメインOCT(spectral domain OCT:SD-OCT)による高解像度画像は,さらに詳細な中心窩構造変化の観察を可能にし,本症の発生病態がより鮮明になってきた。本稿では,現在わかっている最新の特発性黄斑円孔の発生病態,黄斑円孔の分類および疫学について概説する。
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