Book Review
《眼科臨床エキスパート》画像診断から考える病的近視診療
近藤 峰生
1
1三重大大学院・眼科
pp.1880
発行日 2017年12月15日
Published Date 2017/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410212538
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医学書院から出版された『画像診断から考える病的近視診療』を読み終え,深い感銘とともに,この本は全ての眼科専門医が熟読すべき良書であると確信した。病的近視の学問はここまで進歩したのかと,ただ驚くばかりである。本書には,病的近視の診療に必要な最新情報が全て詰まっていると言ってよい。病理,疫学,遺伝,そしてさまざまな画像診断所見と内科・外科治療である。最終章には,病的近視の眼位異常や白内障手術の留意点,さらにQOL評価まで網羅されている。
近年の病的近視の診療を大きく発展させた第1の要因は,やはりOCTをはじめとする画像診断の進歩である。解像度が高く深達度の優れたOCTの登場により,病的近視における網膜,脈絡膜,強膜の構造変化が実に鮮明に観察できるようになり,病的近視の病態理解は飛躍的に進んだ。このイメージング技術は,治療適応の決定にも極めて重要な役割を果たしている。本書においても,近視性脈絡膜新生血管(myopic CNV:mCNV)の検出,近視性黄斑分離や黄斑剝離の鑑別,さらにdome-shaped maculaといった特殊病変など,さまざまな病的近視の黄斑所見のイメージング解析には最も多くのページを割いている。きれいなカラー写真と鮮明なOCT像を用いた解説のクオリティは,他のどの成書とも比較にならない。さらに本書では,大野らによる3D-MRIを用いた近視眼の眼球形状解析が示されている。後部ぶどう腫の新しい分類に根拠を与えた圧巻といえる発見であり,多忙な先生にはこの項目だけでもぜひ一読していただきたい。
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