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特集 網膜硝子体手術の新しいスタイル
硝子体手術における手術顕微鏡一体型OCT(術中OCT)の有用性
Utility of microscope-integrated intraoperative optical coherence tomography for vitreous surgery
西塚 弘一
1
Koichi Nishitsuka
1
1山形大学医学部眼科学講座
pp.1818-1824
発行日 2017年12月15日
Published Date 2017/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410212528
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はじめに
光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)は非侵襲的に眼構造の断層像が可能であり,現在の眼科診療では欠かせないものとなっている。従来のOCTは外来検査用に設計され,主に術前術後評価に用いられているが,術中OCTはその名の通り術中の術野の形態評価が可能となるものである。硝子体手術における術中OCTは,①軽量小型化したOCTを用いる手持ち型,②OCT本体と光ファイバーで連結した撮影用プローブを眼内に挿入して用いるファイバー型,③手術顕微鏡一体型の3つのタイプがあり,わが国では名古屋大学眼科のグループが主に研究を行っている1,2)。
近年,国内において承認され市販されている手術顕微鏡一体型の術中OCTとしてCarl Zeiss Meditec社のRESCAN700がある。これは同社の手術顕微鏡OPMI Lumera700にCirrus HD-OCTがマウントされていて,術中にスペクトラルドメインOCTとしての撮影機能を有している。手術顕微鏡で観察している像に重ねてのOCT撮影が容易であり,これまでに客観的評価が困難であった病態がリアルタイムに術者にフィードバックされ,網膜硝子体手術の新しいスタイルの一役を担う機器となっている3)。術中OCTは術前評価が困難な病態の術中観察を可能にし,より安全で高度な手術を目指すための有用なツールとなる。本稿では手術顕微鏡一体型OCTについて,筆者のRESCAN700の使用経験をもとに種々の手術症例を提示しながら硝子体手術における有用性や考えられる発展性について述べる。
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