特集 オキュラーサーフェス診療アップデート
5.基礎研究と臨床とのつながり
感染症と免疫
眼表面疾患におけるTLRs
上田 真由美
1
1京都府立医科大学大学院医学研究科視覚機能再生外科学
pp.335-340
発行日 2012年10月30日
Published Date 2012/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410104489
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Point
1.Toll-like receptors(TLRs)とは,さまざまな病原微生物の構成成分を認識する受容体であり,自然免疫において中心的な役割を担っている。
2.眼表面上皮細胞にもTLRsは発現しているが,その機能は単球などの免疫担当細胞とは異なり,細菌などの菌体成分に対して容易に炎症を惹起しない機構を保持している。
3.重篤な眼表面炎症性疾患であるStevens-Johnson症候群では,TLR3遺伝子多型が有意に相関を示し,その発症に自然免疫応答の異常が関与している可能性がある。
4.TLR3はウイルス由来二本鎖RNAを認識する受容体であるが,アレルギー性結膜好酸球浸潤を促進する作用もある。
5.一方,プロスタグランジン(PG)E2の受容体の1つであるEP3受容体には,アレルギー性結膜好酸球浸潤を抑制する作用もある。
6.TLR3とEP3の間にはEP3がTLR3を介した炎症を抑制するという相互作用があり,その破綻が眼表面の炎症に関与している可能性がある。
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