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特集 脈絡膜から考える網膜疾患
2階調化による脈絡膜構造解析
Structural analysis of choroid by binarization of optical coherence tomographic images
木下 貴正
1
Takamasa Kinoshita
1
1市立札幌病院眼科
pp.1882-1889
発行日 2016年12月15日
Published Date 2016/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410212104
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はじめに
網膜外層は人体で最も代謝が活発な組織であり,脈絡膜はこれに酸素,栄養素を供給する。脈絡膜は網膜色素上皮下にあり,検眼鏡的には十分に観察できないため,生体眼において脈絡膜生理と各種疾患の病態を形態的に評価するには何らかのイメージングが必要である。インドシアニングリーン眼底撮影(indocyanine green angiography:IA)は多くの網脈絡膜疾患の診断および治療効果判定に有用であるが,その侵襲性から頻回の検査には不向きである。また,定量評価が容易ではない。近年,enhanced depth imaging optical coherence tomography(EDI-OCT)およびswept source OCT(SS-OCT)により,正常脈絡膜の構造,生理に加え,多くの眼底疾患の病態への脈絡膜の関与が次々に明らかとなってきている。
当初,これらのOCT機器を用いた脈絡膜研究の主な評価項目は脈絡膜厚であったが,Sonodaら1)が考案した2階調化による脈絡膜構造解析によって管腔と間質を分離定量化することが可能となり,正常脈絡膜や網脈絡膜疾患に関する知見がさらに蓄積されつつある。本稿では正常者の2階調化研究を概説したうえでいくつかの疾患における変化について触れてみたい。
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