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疾患の概要
中心性漿液性脈絡網膜症(central serous chorioretinopathy:CSC)は,中心窩を中心とした漿液性網膜剝離が生じ視機能異常を呈する疾患であり,典型的には30〜40歳代の中年男性に多い。現在ではフルオレセイン蛍光眼底造影(fluorescein angiography:FA)およびインドシアニングリーン蛍光眼底造影(indocyanine green angiography:IA)を用いた研究によって,脈絡膜血管異常がその一次的原因で,網膜色素上皮(retinal pigment epithelium:RPE)が二次的に障害されることで発症すると考えられている。ただし,発症要因は完全には解明されておらず,心身のストレスや,内用または外用ステロイド薬などの関連が示唆されている。その疾病構造にはさまざまなバリエーションがあり,高齢者や女性でも特に珍しくはない。現代ではライフスタイルが以前よりも変化していることもバリエーションが増えている要因かもしれない。
そのなかで,慢性型CSCではいわゆる典型CSCとは異なり,FAでもはっきりとした蛍光漏出点がみられないか,あっても複数か所に散在してみられ造影早期からびまん性に観察できる。同時に広範囲のRPE障害を示すwindow defectが観察される。疫学的にも典型CSCよりも高齢者に多く,両眼性症例も多いとされている。IAでは典型CSCでもみられる脈絡膜血管異常がよりはっきりと描出される。両眼性症例ではもちろんであるが,片眼性症例においても,脈絡膜血管透過性亢進所見は患眼だけでなく両眼でみられることも多く,その程度も両眼同程度であることもある。慢性型CSC症例では全身的にステロイド治療が行われていることが少なくないことも両眼性に障害される要因かもしれない。
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