Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
疾患の概要
中心性漿液性脈絡網膜症(central serous chorioretinopathy:CSC)は,かつて中心性網膜炎とも呼ばれ,典型的には30〜40歳代の中年男性に多く,黄斑部を中心として同心円状の境界明瞭な漿液性網膜剝離が生じる疾患であり,変視や歪視を主症状とするものの視力はある程度維持される。発症の原因としてさまざまなストレスやA型パーソナリティ,ステロイド薬の既往などが挙げられているが完全には解明されていない。最近,脈絡膜にミネラルコルチコイドレセプターの存在が報告され,本疾患との関連や治療への応用が注目されている1)。
本疾患はフルオレセイン蛍光眼底造影(fluorescein angiography:FA)で初期から中期にかけて1か所または複数か所の網膜色素上皮(retinal pigment epithelium:RPE)レベルの蛍光漏出がみられる。そのことから,RPEの機能異常,いわゆる外側血液網膜関門の破綻が疾患の本態と考えられてきた。しかし,1990年代以降に普及したインドシアニングリーン蛍光眼底造影(indocyanine green angiography:IA)によって,CSC眼は脈絡膜の静脈拡張,充盈遅延,造影中〜後期の脈絡膜血管透過性亢進を示す過蛍光などの各種異常所見を呈することが明らかとなった。そのことから,現在では脈絡膜の血管異常が疾患の一次的原因であると考えられている2,3)。特に静脈拡張部位もしくはそれに接して蛍光漏出が好発しており,脈絡膜血管異常が先行していると考えられる3)。本疾患は最終的に脈絡膜血管透過性亢進部位において二次的なRPE異常による外側血液網膜関門の破綻が生じ,脈絡膜内の滲出液が網膜下に流入することで発症する。
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.