書評
市中感染症診療の考え方と進め方 第2集—IDATEN感染症セミナー実況中継
川島 篤志
1
1市立福知山市民病院研究研修センター・総合内科
pp.366
発行日 2016年3月15日
Published Date 2016/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410211737
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「感染症診療は日本の医療で遅れている分野である」というニュアンスのコメントを見たり聞いたりする人も多いのではないだろうか? 筆者自身も感染症診療や臨床推論に関連する講演でも頻用するが,同時にこの数年で感染症診療のボトムアップが進んでいるのを実感する。その最大の貢献者はIDATEN(Infectious Diseases Association of Teaching and Education of Nippon)と言っても過言ではない。もしIDATENという言葉にピンとこない方がおられれば,HPの閲覧や周囲の若手医師に「IDATENって何?」ときかれることをお薦めする1)。
さて,IDATENは過去にも複数の書籍を刊行している2)。それぞれ秀逸であるが,今回はセミナー実況中継「風」の体裁で,施設内・地域内での感染症診療の質向上に心強い1冊として出版された。セミナーは夏と冬に行われているが,日程やあまりの人気で「狭き門」となっている。サマーセミナーはBasic編と位置付けられているが,「風邪」を含めてよくある感染症から,比較的稀で対応困難になりかねない疾患・状態への備え(海外渡航帰りの発熱やHIV診療,集中治療),感染症診療の原則や小児診療,予防(ワクチン)についても網羅されおり,大変ぜいたくなセミナーである。これらがUpdateされ,カラー図表が豊富な書籍として一般公開されたことは,本当にありがたいことである。個人的には筆者自身が施設責任者としてかかわった2013年の「IDATEN Summerセミナーin福知山」がBaseになっているのも感慨深い3)。
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