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特集 遺伝性網膜疾患のトータルケア
【治療と対応】
遺伝性網膜疾患に対する外科治療
Surgical treatment for inherited vitreoretinal disorders
近藤 寛之
1
Hiroyuki Kondo
1
1産業医科大学眼科学教室
pp.1624-1629
発行日 2015年11月15日
Published Date 2015/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410211620
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はじめに
遺伝性網膜疾患の多くは変性疾患であり,変性した組織の機能を手術によって回復させることは困難である。しかし,網膜剝離や黄斑前膜,白内障など,併発症の治療には外科治療が必要である。特に遺伝性網膜疾患患者では,黄斑変性や弱視,視野障害など視機能が低下していることが多く,残存した視機能をより有効に活用するためには手術が有効である。しかし,健常人との病理・組織学的な違いから,遺伝性網膜疾患の手術は必ずしも容易でない。術後合併症が生じる頻度が高く,手術侵襲の影響で術前より視機能が悪化する危険性がある。また残された視機能が限られているので,患者の期待通りに視機能が向上しないこともある。外科治療を効果的に行うためには健常人とは異なる配慮が必要である。
本稿では,遺伝性網膜疾患に対する外科治療について,併発症のタイプごとに代表的な疾患を取り上げ,その適応や治療法の実際について述べる。
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