創刊20周年記念特集 眼科最近の進歩
随想
中村康先生が「臨床眼科」創刊の頃
初田 博司
pp.1532
発行日 1966年12月15日
Published Date 1966/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410211156
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「君,依頼原稿は来ていますか」「はい,,臨床講義が二本入つています」「そう,それじやあそれをいれましよう,こつちの方が早いね,もう一つのは次の号にまわすことにしましよう」「それから,私の研究が一つ」「これはちよつと長いが,ぜんぶ一ぺんに入るでしよう,あとは私の経験と外文抄録ですね,それで何頁になりますか,残り頁は原著を到着順にとつてみて下さい……」
東大正門前の医学書院の編集室である。いつの間にか先生の編集のお手伝いをする様になつて,だいぶ色々の様子が判つて来た。雑誌のたて頁がきまつているから,依頼原稿などの組頁を合計して差引くと原著がどれ位のるかの見当がつくのである。先生の御指示通りにはめ込んでいくと,雑誌の目次の案が,たちどころに出来上つていく。これも先生の御指示だつたと思うのだが,雑誌社のひとが原稿を到着順に整理した一冊のノートを用意してあり,それには到着原稿の日付け,原稿枚数,題名,著者名,所属,組頁数などが一覧表のようになつて書き込んであるのを机の上に置き,それをみながら,それが何号にのるかを決めてマークしていく。原稿の表題や著者名を目次の順に書いたものを先生にお目にかけると,すぐそばから雑誌社のひとがその順番に原稿をつみ上げてもつて来る。
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