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組織プラスミノーゲンアクチベーターによる実験的網膜静脈閉塞症の治療
桂 弘
1,2
1慶大眼科
2在:オークランド大学
pp.946
発行日 1989年6月15日
Published Date 1989/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410210832
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綱膜静脈閉塞症の治療としては,これまでウロキナーゼやストレプトキナーゼが用いられてきたが,これらは非特異的に循環血液中のプラスミノーゲンに作用して線溶を促すため,易出血性を招く危険がある。しかし,組織プラスミノーゲンアクチベーターはフィブリンの存在によって特異的にプラスミノーゲンを活性化してプラスミンに変換し、しかもフィブリン塊の付近でのみ作川する利点がある。そこで,本研究では,その網膜静脈における血栓溶解の効果を知るし的で、ウサギにローズベンガル液の静注とアルゴンレーザー凝固により,光化学的に網膜静脈の閉塞を生じさせ,30分後に合成組織プラスミノーゲンアクチベーター0.5mg/kgを静注し,螢光眼底撮影によって経過を観察した。16眼すべてにおいて,静注後4時間で,静注前に閉塞していた静脈が完全に開通していた。生理食塩水を静注したコントロール12眼では,1眼において部分的に開通していたにすぎなかった。これらの結果により,組織プラスミノーゲンアクチベーターは網膜静脈血栓に対する有効な薬剤となる可能性があると考えられた。
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