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特集 第42回日本臨床眼科学会講演集(3)1988年9月 東京
学術展示
眼窩尖端症候群を呈した眼窩真菌症の2例
Two cases of orbital mycosis with orbital apex syndrome
関根 美穂
1
,
佐藤 章子
1
,
松山 秀一
1
Miho Sekine
1
,
Shoko Satoh
1
,
Shuichi Matsuyama
1
1弘前大学医学部眼科
pp.590-591
発行日 1989年4月15日
Published Date 1989/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410210732
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- Abstract 文献概要
緒言 近年難治性の感染症の中で,真菌によるものの占める割合が増加してきているが,眼科領域では角膜真菌症,眼内炎が大半を占めており,眼窩真菌症は,本邦では極めて稀な疾患である。今回我々は,汎副鼻腔真菌症の眼窩内波及によると思われる,眼窩尖端症候群を呈した,眼窩真菌症の2例を経験したので報告する。
症例1 51歳男性で,既往歴に糖尿病と副鼻腔炎あり。左眼の前部強膜炎の診断で近医で治療をうけるも改善せず,続発性緑内障を併発し当科紹介となった。入院後左眼トラベクレクトミー施行。術後40日目に左眼裂孔原性網膜剥離が発生し,ステロイド大量投与を開始した。網膜剥離は限局化したが,右眼視力低下(0.7〜眼前手動弁),中心暗点が出現,右球後視神経炎の診断にて再度ステロイドの全身投与を行うも,右眼球突出、眼筋麻痺も出現し眼窩先端症候群を呈した。CTで右眼窩漏斗部から蝶形骨洞に及ぶ陰影,左眼球壁の不整が見られ,ステロイド剤・抗生物質の全身投与にほとんど反応せず悪性腫瘍を疑い、右眼窩試験開放術を行った。結果,組織学的検索にて眼窩真菌症と診断されたが,術後全身状態は悪化の一途をたどり,抗真菌剤は局所投与のみしか行えず,敗血症で不帰の人となった1)。
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