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萎縮性老人性黄斑変性における網膜下出血
桂 弘
1,2
1慶大眼科
2オークランド大学
pp.458
発行日 1989年3月15日
Published Date 1989/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410210699
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網膜色素上皮と脈絡膜毛細血管の萎縮を主体とした老人性黄斑変性の症例で萎縮巣内に網膜下出血をきたした8例8眼について検討した。年齢は72歳から85歳で,網膜下出血の大きさは6眼で1/2乳頭径未満,1眼で1/2〜1乳頭径,1眼で1乳頭径を越えており,中心窩に及んでいた症例はなかった。全例,出血は1〜15カ月で吸収し,その後1〜20カ月の経過観察で再出血を生じた症例はなかった。螢光眼底撮影では8例とも出血の原因と考えられる網膜下新生血管は検出されなかった。
加齢変化を有する非近視眼に見られる網膜下出血の原因としては,網膜下新生血管の存在が最も考えられるが,今回の検討から,特に網膜色素上皮および脈絡膜毛細血管の萎縮巣に生じる網膜下出血は必ずしも網膜下新生血管によるものとは限らず,別のメカニズムも存在することが示唆された。また,このような症例の出血に関する予後は良好であり,光凝固施行の決定に際しては,網膜下新生血管の検出が特に重要であることを強調した。
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