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強力なインスリン療法中の一時的増殖性糖尿病性網膜症,他
樋田 哲夫
1
1杏林大
pp.1348-1350
発行日 1988年12月15日
Published Date 1988/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410210565
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Rosenlund EF et al : Transient proliferative diabetic retinopathy during intensified insulin treatment. Am J Ophthalmol 105:618-625, 1988
糖尿病歴11年および4年の22歳と19歳の女性に対し家庭での血糖モニターを行いながら強力なコントロールを行った.治療開始前,第1例は軽度の単純型網膜症があり第2例の眼底は正常であった.2例とも尿中のアルブミンが非常に高値であった.コントロールの指標としたHbA1は14.3%と17.5%の高値から5〜6カ月の間に急激に正常化した.これに平行して治療開始後5〜7カ月後に乳頭上新生血管を伴う増殖性網膜症が発症した.そのまま血糖のコントロールを継続したところ,つづく3〜5カ月間に網膜症は軽快した.第1例の5年後,第2例の2年後の眼底検査では軽度の単純型網膜症を認めるのみであった.2例とも一般的な基準からすれば光凝固の絶対的適応といえる.しかし光凝固治療にもいくつかの合併症が知られている.筆者らはすべての増殖性糖尿病性網膜症に対して光凝固が必須の治療法とする見解に疑問を提示している.
光凝固療法の適応に対する考え方を変えるというところまではいかないであろうが治療効果の判断に際して頭に入れておく必要がある.
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