連載 眼の組織・病理アトラス・64
増殖性糖尿病性網膜症
猪俣 孟
1
1九州大学
pp.112-113
発行日 1992年2月15日
Published Date 1992/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410900999
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糖尿病性網膜症diabetic retinopathyは,糖尿病による長期間の高血糖または血糖値の著しい変動が,血液性状の変化,血流動態の変化をもたらすことによっておこる眼病変である。血糖の変動を含めた血液性状の変化と血流動態の変化が網膜血管壁の機能的および器質的変化を招き,血管壁の透過性亢進と血管腔の閉塞が生じる。
血管壁の透過性亢進は,網膜に持続的な浮腫や出血をおこし,やがて網膜組織は変性破壊される。この段階までは,糖尿病によっておこる網膜内の病変として,単純性または背景糖尿病性網膜症background diabetic retinopathyと呼ばれる。
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