連載 眼の組織・病理アトラス・7
網膜色素上皮:視細胞外節の処理
岩崎 雅行
1
,
猪俣 孟
1
1九州大学
pp.514-515
発行日 1987年5月15日
Published Date 1987/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410210032
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眼球が光受容器であるという点において,眼組織のなかで最も重要な細胞は視細胞である.その視細胞を機械的に支持しているのは網膜の主要グリア細胞のミュラー細胞であるが,機能的に色々な形で支えているのが網膜色素上皮細胞 retinalpigment epithelial cellである.その意味でミュラー細胞だけでなく,色素上皮細胞も一種のグリア細胞と考えてよいと思われる.このことは色素上皮に病変を生じると,視細胞の機能異常,ひいては視力障害をきたすことを意味する.
網膜色素上皮は,網膜の最外層に位置する単層立方上皮で,細胞の先端部は視細胞の先端である外節と向い合っており,基底部はブルッフ膜をはさんで脈絡膜毛細管板と隣接する.色素上皮細胞の機能として,古くなった視細胞外節の処理,脈絡膜毛細管板による網膜外層(主に視細胞)の栄養代謝の仲介,血液網膜棚,ビタミンAの代謝,視細胞外節に吸収されなかった光の乱反射防止などが考えられている.今回は,主に視細胞外節の処理に関する形態学的特徴を述べる.
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