文庫の窓から
眼科諸流派の秘伝書(37)
中泉 行信
1
,
中泉 行史
1
,
斎藤 仁男
1
1研医会
pp.80-81
発行日 1985年1月15日
Published Date 1985/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410209317
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46.真嶋流眼病之書
馬嶋流眼科の"馬嶋"という名称には真嶋,麻嶋,間嶋等いろいろな文字が当てられているが,それは唯その異を示そうとしたに止まるのではなかったか,それぞれの内容は大同小異であるといわれている.本書の識語にはこの一巻は高田左衛門大夫が相伝の書で,尾州真嶋流の秘伝書であるとしている.また,慶長15年正月の年号が識されているところより,多分この年に書写(某氏により)されたものと思われる.高田左衛門大夫という人が如何なる人物か不詳であるが,本書の相伝由来を識した条に,『抑々此書というは神武天皇の御代の時,丹波の国,高田左衛門大夫,和気の典薬吉之といへし人,一中略—薬師如来夢想に見来あつく此書を伝へ給う.一中略—末代の重宝として此一巻の書かながきにうつし伝へるなり』とあり,高田左衛門大夫が薬師如来夢想のお告を秘伝として伝えられたものと推察される.
この「眼病之書」は35葉,全1冊(18:121.5cm)の横長本よりなり,本文は平仮名を交えた和文で記され,全体に閲読者の朱が入っている.また全体を眼抄上巻下巻に分ち,内容見出しに以下の項目が挙げられている.
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