文庫の窓から
眼科諸流派の秘伝書(42)
中泉 行信
1
,
中泉 行史
1
,
斎藤 仁男
1
1研医会
pp.826-827
発行日 1985年6月15日
Published Date 1985/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410209480
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51.根来流眼目秘方
根来流眼科の由来については寛保2年(1741)に根来東叔によって著わされた「眼目暁解」の中に『僧空海支那に渡レル時生来眼病アリ彼地ニテ治ヲ乞ヒ癒ユルコトヲ得,兼テ其治法ヲ学ビ帰朝シ高野山ノ僧徒ニコノ術ヲ傳ユ,根来寺*ニモ傳ヘテ福本坊法印宥賢ニ傳ハリ後遂に俗人ニ傳ハリ云々』(小川剣三郎著「稿本日本眼科小史」)と述べられているように,その眼科は弘法大師によって中国より高野山の僧徒に傳わり,更に庶民の間に伝えられたことが窺える.根来寺から伝えられた術により根来流とされたのであろうか,「根来流眼目秘方」もまたその眼科を伝えるものであろうか.
本書はおよそ13葉,全1冊(12.7×19.5cm)横長本で,本文は片仮名交り和文で記述され,第10葉目に『右此一流秘博ニテ候ヘドモ相傳仕候他見有間敷者也仍而如件根来不動院在判寛永八年六月吉日』と識され,この写本は寛永8年(1631)以降の書写本と推される.なお,「国書総目録」(岩波)第6巻によれば「根来不動院眼療書」(安永6年写,1冊,無窺会神習文庫蔵)の1本がある.
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