文庫の窓から
眼科諸流派の秘伝書(31)
中泉 行信
1
,
中泉 行史
1
,
斎藤 仁男
1
1研医会
pp.823-825
発行日 1984年7月15日
Published Date 1984/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410209228
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40.獺祭録
わが国における西洋流実験的眼科医の始祖といわれる土生玄碩の事蹟については多くの諸先輩の詳しい研究によりよく知られている。
そもそも土生家の祖先は足利義教の臣下であって,渡辺氏といわれた。足利義教が殺された(嘉吉の変)時に,渡辺義実という人が朝鮮に逃れたが,そこで眼病を煩い季圭仁という眼科医の治療を受けて愈った。それから眼科の医術を学ぶこと7年あまり,再び日本へ戻り,安芸国豊田郡土生村(広島県)に住みつき,姓を土生と改め(異説もある),土生流眼科を起した。その後,代も変り元亀天正(1570〜1591)の頃,玄碩より数えて8代前の義賢という人が安芸国高田郡吉田村に移り,眼科医としても利家に仕えたといわれる。
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