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特集 第37回日本臨床眼科学会講演集 (その8)
学術展示
ワニの涙症候群の涙液分泌機構について
A pathogenetic study of lacrimal secretion in crocodile tear syndrome
木村 伸子
1
,
大野 研一
1
,
岡田 恒治
1
,
篠原 淳子
1
,
河本 道次
1
,
内田 隆治
2
Nobuko Kimura
1
,
Kenichi Ohno
1
,
Tsuneharu Okada
1
,
Atsuko Shinohara
1
,
Michiji Komoto
1
,
Ryuji Uchida
2
1東邦大学医学部眼科学教室
2東邦大学医学部麻酔科学研究室
pp.1152-1153
発行日 1983年8月15日
Published Date 1983/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410209010
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- Abstract 文献概要
緒言食事の時に流涙のおこる現象はワニの涙症候群1)と呼ばれ,本現象は末梢性顔面神経麻痺に伴う後天性のものが大部分であり2〜4),先天性のものでは文献土に記載された例は極めて少数であり,しかもこれまでの先天性のほとんどすべての報告例は眼球運動障害を伴っている。前回5)我々は先天性で眼球運動に異常のない症例を報告した。今回更に眼球運動障害を伴わない先天性のもの1例と後天性のもの1例を経験し,これらの症例について種々検索を行い,体症候群の発生機序について検討し,いまだ不明の点が多いとされている涙液の分泌機構の解明の一助としたいと考え,ここに報告する。
症例1:5歳男児。生後10ヵ月頃より食事の時,両眼より流涙に気付き,泣く時にも両眼より流涙を認めた。既往歴は,母親は妊娠中,特別異常はなく,分娩は在胎39週,正常分娩で,現在までの発育は良好で外傷,顔面神経麻痺の既往はない。眼科的所見は視力V.d.=0.5(0.8×+1.0D.〇cyl.−2.0D.A.180°),V.s.=0.4(0.7×+0.50D.〇cy1.−1.5D.A.180°)であった。シノプチスコーフでは,他覚的斜視角−5°,自覚的斜視角−6°であった。眼球運動は両眼共,各方向に障害は認められなかった。涙道検査で両眼共,通過障害はなかった。全身的所見では先天異常は認められず,神経学的に反射は正常で病的反射は認められなかった。
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