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特集 第36回日本臨床眼科学会講演集 (その3)
学術展示
Saccadic reaction timeに関する研究—視覚野を中心とした病変について
The studies on saccadic reaction time: Cases with occipital lobe lesions
福島 正文
1
Masafumi Fukushima
1
1川崎医科大学眼科学教室神経眼科部門
1Devision of Neuroophthalmology, Department of Ophthalmology, Kawasaki Medical School
pp.360-361
発行日 1983年3月15日
Published Date 1983/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410208853
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- Abstract 文献概要
緒言著者はこれまで衝動性眼球運動を視覚系だけで行う視性衝動運動と聴覚刺激により誘発される聴性衝動運動に分け,両者の衝動性眼球運動潜時(saccadicreaction time:以下SRTと略す)の特微について報告してきた。正常者においては求心性経路や知覚認知過程の違いによりそれらのSRTが異なり1),精神薄弱やびまん性大脳萎縮および頭頂葉病変例では障害に相関した視性や聴性SRTの遅延が認められる2,3)。今回,後頭葉視覚領野を中心とした病変における視性と聴性SRTを比較し.視覚領野機能障害の評価を行った。
症例および方法症例は後頭葉視覚領野を中心とした病変6例である。症例1は63歳の男性で.右後大脳動脈の出血性梗塞による左同名性半盲を呈した。症例2は46歳の女性で,左後大脳動脈梗塞による右同名性半盲を呈した。症例3は68歳の男性である。大腿動脈の閉塞性動脈硬化症の診断で血管造影直後より発症した左後大脳動脈梗塞である。視野は発症時右同名性半盲と左上1/4半盲を呈していたが,SRT検査時左視野は改善し右同名性半盲だけの状態であった。症例4は53歳の男性で,右中大脳動脈梗塞による左同名性半盲と左片麻痺を呈した。症例5は33歳の男性で,左後大脳動脈梗塞による右同名性半盲と右片麻痺を呈した。症例6は18歳の男性で,左後頭葉萎縮の症例である。視野は約20°の求心性狭窄を呈した。全症例にCT-scanを施行し,病変考察の参考にした。
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