斜視の原因と治療
Ⅶ.内斜視の原因(その2)
三井 幸彦
1
1徳島大学
pp.1284-1285
発行日 1979年9月15日
Published Date 1979/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410207968
- 有料閲覧
- 文献概要
前回内斜視は光に対するその眼の「光−内直筋」異常反射が基盤になつておこるというKeinerの説と,それに一致する諸所見を述べた。今回はその続きをもう少し書いてみたい。
Phoriaの状態をすぎてtropiaになるとEso. Exo.を問わず「光」はあまり関係なくなる。したがつてTropiaは絶対暗室へ入れても眼は通常正位にならないことはExo.について第1報で述べた。この点Eso.もExo.も同様である。しかし両者の間には一つ大きな差がある。図1にExotropiaの暗室における眼位を示す。明室でも暗室でも視線の方向に差はない。図2にEsotropiaの場合を示す。明室では視線はトの字型であるが,暗室ではハの字型になつている。私どもはこの現象をハト現象と呼んでいる。Eso.の場合ハト現象が常に陽性なわけではない。今までに写真判定したものの約50%に陽性であつた。Exo.では1例も経験されていない。こういう差がExo.とEso.との間におこることは理論的にも容易に理解される。
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.