印象記
第83回日本眼科学会総会印象記
大島 健司
1
1福岡大学
pp.1097-1117
発行日 1979年8月15日
Published Date 1979/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410207941
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第83回日本眼科学会総会は,東京慈恵会医科大学船橋教授を会長として3月30日から3日間挙行された。桜も咲き,晴天に恵まれて第1会場国立教育会館虎の門ホール,第2会場久保講堂の2個所で早朝から熱心な討論が行われた。私は第1会場午前の部の発表,討論を見聞しての印象記を記す。
第1席および第2席はともに東北大からで,脳や髄鞘の主構成成分であるsulfatideおよび結合組織の間質のchondroitin sulfateの分解に関与する反応の触媒の一つであるアリルサルファターゼ(ライソゾーム酵素)についての研究であつた。第1席原敏氏は牛眼を用いて,眼組織におけるアリルサルファターゼの活性値を測定し,特に神経網膜における活性値が高く,更に網膜内のアリルサルファターゼにAおよびBの2種があり,それそれ部分精製に成功したとのべた。第2席の野地達氏はMetachromatic leukodystrophy等の代謝疾患における網膜神経節細胞内の封入体の増加とアリルサルファターゼの関係に注目して,白色家兎網膜神経節細胞中のアリルサルファターゼ活性値をしらべ,前記封入体はアリルサルファターゼの欠損によりライソゾーム内に蓄積された物質によるとのべた。
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