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緒 言
漿液性中心性網脈絡膜症は青壮年男子に好発する疾患であり,航空機および車輻などの乗務員にも比較的多く認められる。この疾患は,明所視力が回復し,眼底病変が改善して螢光造影により螢光漏出が消失した時期になると,一応臨床的に治癒とみなされることが多い。しかし,これらの改善のみをもつて本疾患による視機能障害が完全に回復したということはできず,小視症,変視症などの自覚症状は,他覚的に眼底病変が改善した後にもかなりの期間残る1)。交通機関の乗務員の中で,視機能に何らかの欠陥を有する者に事故発生率が高い2)という現状から考えても,これらの乗務員に対する本疾患の治癒判定にはとくに慎重を要すると思われる。
今回,航空振興財団・夜間視力計試作委員会が開発した新型中距離夜間視力計3)を用い,明所視力の良好な,または回復した漿液性中心性網脈絡膜症の患者の夜間視力を測定したところ,患眼では健眼および正常者に比して非常に低下していることが多く,また夜間視力の回復は,明所視力の回復および眼底病変の改善に比較して著しく遅れていた。
Forty cases with idiopathic central serous choroidopathy and with good photopic visual acuity were checked for their night visual acuity by our newly developed mid-distant night visual acuity test instrument.
The thus studied night visual acuity was not correlated with their photopic visual acuity. In most cases, their night visual acuity was impaired. The degree of impairment of night visual acuity was parallel to the degree of central scotoma. Occasionally, night visual acuity was affected before appearance of subjective symptoms of ophthalmological findings of central serous choroidopathy.
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