Japanese
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日本トラホーム予防協会会誌
Trachomaの病原とそれに伴える細胞の変化に就いて
Pathogenesis of trachoma and its cytologic changes
越智 貞見
1
Sadami Ochi
1
1北大
1Ophthalmology, School of Medicine, Hokkaido University
pp.47-56
発行日 1960年10月15日
Published Date 1960/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410207045
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緒言
Trachomaの病原問題に就て,私は目眼第47巻第7号所載の如く,日眼総集会の特別講演に於て私の見解を述べ,之をOphthalmologica Vol.101,No.5u6。(Aetiologische Forschungenuber das Trachom.)にも発表しておいた。其後暫く戦後の混乱に累いせられた時に当つて,幸にも少しくVirus性疾患の方面に目を注ぐべき機会を得てTrachoma研究の上に参考すべき資料が与えられた。折柄わが眼科学の領域に於てもVirus性疾患として見られた処の一種の急性結膜炎が広く流行した。それは一名流行性角結膜炎とも呼ばれ,私は古くより数回此流行に遭遇して居る。而して遂に此機会に於て,その発症には一種の絲状菌が関係していることを自ら確認するに至つた。
かくて夫れ等の研究は,やがて私のTrachomaの研究にも発達を促したのであつたが,私は猶且つ常に動物試験を併用して知見を補いつつ病原問題の解決に意を用いた。而して其中に在つて臨牀家の手に入り易きTrachomaの塗抹標本に於ても,私の謂う所の病原的所見を比較的容易に証明し得ることが認められるに至つた。又それに附随して,各種細胞にそれぞれ相当の意義ある変化の伴つて来ることも認められるに至つた。
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