談話室
川喜田教授著「病原微生物学よりみたトラコーマの諸問題」と題する論文を拝読して(3)
金田 利平
1
1札幌天使病院眼科
pp.999-1001
発行日 1959年6月15日
Published Date 1959/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410206698
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第5章 トラコーマの病原が多分まちがいなしに眼で見えるものなら
本誌18頁「その意味でわれわれはトラコーマの病原をいわゆる基本小体の形で多分まちがいなしに眼で見ているにかかわらず後に詳しく述べるように未だつかまえていない,分離しえずにとどまつているのである」本誌21頁「診断法に関連してはProwazek小体の検出というはなはだ重要な技法が既にほぼ確立していて云々」と記載されていることからして川喜田教授はProwazek小体そのものがトラコーマの病原体とする説に多分に疑義がある方だが,教授はトラコーマはウイルス病である,そしてこのウイルスはProwazek小体という封入体を形成するものであると考えておられる方だと私が考えても間違いがないでしよう。もし臨床眼科医がトラコーマの病原体を多分まちがいなしに基本小体,封入体,Prowazsk小体の形で眼で見ている眼で見ることが出来るものなら何がトラコーマで何がnichtトラコーマであるかはProwazek小体,封入体,基本小体の証明によつて,はじめてきまるものでしよう。結核症と同じ様にトラコーマも同じ基盤の上に立つことは言うまでもないことでしようから。
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