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緒言
トラコーマの病源体が簡単に誰にでも鏡下で見られるようになるとか,動物に植えれば容易に決められるとか,或は梅毒のワ氏反応の様な血清反応が見出されるとか,マ氏反応の様な生体反応が発見されると,トラコーマの診断も格段の進歩改善が望まれるのであるが,今日一般の成書にある様な診断法では,トラコーマの病源体より寧ろ生体の反応を主とした臨床症状に重点が置かれているので,非特異的症状とか中毒症状では勿論のこと,特異的な症状でも個人差が甚しいために,トラコーマ診断の混乱を招来していることは今も昔も変りはない。然し特定な刺激を生体に与えた場合,何時かは特異的な反応が来る筈であり,又一定の病源体は或一定の病理組織学的な変化を招来するというのが病理学の原則であるから,例え原因体が,或は原因的診断法が不明であつても生体の反応なり組織学的所見なりがトラコーマ診断の一助となる事は云うまでもない。元来,トラコーマは結膜の疾患とされているから,我々として結膜所見を最も重視すべきであることは贅言を要しないが,結膜と発生を同じうしている角膜表層の病変,例えば角膜パンヌスもトラコーマ診断には疎かに出来ない事は,これ又今も昔も変りはない。所が,此の角膜パンヌス様の変化というものはトラコーマに限つて見られるものではなく,他の疾患の場合でも見られる事はいくらもある。
The signs of the conjunctiva and of the upper margin of cornea of 799 out-patient of the eye clinic were classified as follows and their change with age was discussed.
The signs of the conjunctiva : No.0 ; normal, No.2 ; conjunctivitis catarrharis chronica type, No.3 ; congestion, opacity and roughness in the conjunctival fornices and the inner and outer angles of palpebral conjunctiva, No.4 ; Tr. Ⅱa+b type of Mac Callan's classification, No.5 Tr. Ⅱa+b type, No. 6 ; convalescent trachoma type, No.7 ; Tr. Ⅲ type, No.8 ; Tr. Ⅳ type.
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